うえびん

波紋のうえびんのレビュー・感想・評価

波紋(2023年製作の映画)
3.9
水と共に去りぬ

2023年 荻上直子監督作品

カーテンを開ける
陽が入る
庭に彩りの花が咲いている…

『かもめ食堂』
『川っぺりムコリッタ』
荻上監督作品は冒頭から
作品世界に引きずり込まれる

主人公の依子を演じる
筒井真理子の独壇場

複雑な心の深奥をえぐり出す
歯ブラシのくだりが恐ろしい
こういった表現を“怪演”というんだろうか

作品全体に貫かれている
“水”のモチーフに
いろんなイメージが湧き上がる

緑命水

そんなに沢山買い込んで
棚いっぱいに並べなくても…

橋口亮輔監督の『恋人たち』
光石研と安藤玉恵が売っていた
怪しい水を思い出す

夫の過去の過ちを“水に流せない”依子

息子が彼女を連れて帰省し
久々の家族“水入らず”の場に
“水を差す”依子

“死に水”をとった依子

枯山水

水を一切使わずに水を表した庭

降りしきる雨(水)と共に去った
(昇華した)ものは何だったんだろうか
うえびん

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