このレビューはネタバレを含みます
宮崎駿、ジブリが帰ってきた。
■良かった点
・どこを切ってもジブリ印
冒頭からラストまで、紛うことなきジブリ作品。
ジブリ=宮崎駿なのだと、良くも悪くも実感。
・熱くなりすぎない醒めた演出
「君の名は」以降のアニメ作品の主流となった超絶作画と過剰な感情表現は希薄で、最後まで落ち着いて観ることができる。とにかくリミッターが外れた演出で五感を刺激しまくるような「ずっと耳にウルサイ」「眼がチカチカする」「感情の喜怒哀楽がもはや狂気」という類のものとは無縁。
サラリとしたラストもまさにジブリ。
・ストーリーが、成長物語の王道。
ひとりの少年がひとつ大人になる「第二次性徴期の期待と不安」のど真ん中映画。あくまで個人レベルの不思議な体験にとどまっているところが厨二病作品とは違う。精神的に成熟した大人が作った青少年向け映画になっている。
・どこか不気味なキャラクター
とくにアオサギのデザイン、というかギミック?は天才のそれ。
このキャラクター、メフィストフェレス的役割ってことで良いのかな?
■気になった点
・映像は最先端ではない
昨今のアニメの映像レベルからすると、十年前のレベルかもしれない。
・世界観はやや難解?
ストーリーはあまり難しくはないと思うが、世界観がやや難解かもしれない。
個人的にはダンテの「神曲」っぽいと感じた。
・最近のアニメファンからすると地味に映るかも?
最近のアニメの映像のクオリティが凄いので、十年待ってコレですか?と感じるひともいるかもしれない。
・宮崎駿が引退を撤回してまで作りたかった作品なのか?
ここは識者の考察や御本人のインタビューで補完する必要があるかも。
間違いなく良い作品ではある。ただ、噂されていた「ナウシカ2」のようなインパクトがあるか?といわれると…。