ひー

君たちはどう生きるかのひーのレビュー・感想・評価

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)
3.5
徹底した情報統制の上でフラットにこの物語に触れたこの体験を大切にしたい。
どういう話なのか一切知らず、目の前のことがどういうことなのか正しく説明されることのほうが少なく、次の展開がわからないのが人生だから。

子どもの頃の読書体験とか映画体験ってこうだったよな。どういう話だったか理屈でわからなくても楽しかったもんな。
今作、ほんとうに「どゆこと?」の連続だったので、体験はしたが理解はできてない。笑

その上で「映画作品として」思ったこと、登場人物たちについて感じたものを色々メモ程度に。
(以下普通にねたばれ)








・これまでの作品たちを思い出させる景色があちこちに。
まあきっとどれも宮崎駿の頭の中にある世界の欠片たちなんでしょう。おそらく。

・話は中盤以降、正直ちんぷんかんぷんだったんだけど、近現代の社会という大きな話と、極めてパーソナルな話の両方があって、生き辛さのようなものはすごく感じた。

・眞人について:
この時代においてすごく恵まれた環境の子で(風立ちぬの序盤の、銀行に押しかける庶民をぼんやり車から眺めるシーンに現れていたような無自覚の裕福さを思い出す)、でも母親の喪失や成金的な父に振り回され気味で、居場所のなさも確かなもので、そんな彼の自傷は罪なのでしょうか…。葛藤しながら社会や自分の環境と向き合うこと、それはとても大切なのだけれど、なんかもうずっといい子だからちゃんと我儘を言えるように育ってほしい。幸せになってね。

・夏子さんについて:
彼女の「帰りたくない」が何より辛かった。眞人との関係性とか、眞人の父との感覚のギャップとか、そも、ちゃんと幸せな結婚じゃないよねとか色々考えちゃうじゃん。幸せになってねpart2。

・父親について:
驚愕のキムタク。車で〜のくだりとか、子どもからしたら「勘弁してくれよ…」なんだよね。サイパン(だっけか)の状況を嬉々として語るようなのとかも、「そういうとこやぞ!」なんやけど、家族愛も本物なんだろうね。今のところ他に語ることは思いつかない。

・「わらわら」の造形がけっこう衝撃的やったんやけど、、こ、こんなイマドキなザ・愛されキャラクターありなんだ…?コダマとか精霊的なものでなく、産まれる命そのものだから「無条件に愛され得るもの」なのかな…

・後継について:
自分に代わって美しい世界を作ってくれる後継ぎはいませんでしたっていう皮肉だったらどうしよう

観たのは公開翌日の最終回、IMAX。終演時間は0時。予約時はわりと空いており、都会におるでもなし、明日は休日といえど、さすがにね、と思っていたら当日になってみれば満席。ひえー
ひー

ひー