犬神家に京極夏彦をかけ合わせ、さらにバディものの良さと激かっこよアクションと一途な愛をon！
って軽率に書くとどんだけ盛るねんという感じだけど、ちゃんと誠実でちゃんとおぞましくてめちゃくちゃ面白かった。
単純に「大人向けゲゲゲ」っていうガワだけのものでなく、今ゲゲゲを語り直すってこういうことなんだな…
（PG12で足りるんかとは思ったけど。私が低学年とかでみてたら、多分、泣く。）
トラウマを抱えた戦争帰還兵水木と目玉（になる前）親父の関係性はいい感じだし、お父さんめっちゃ武闘派でアクションシーンとんでもなくかっこよかったし、そういう楽しさはもちろんあった。
ただ、おはなしの主軸は、因習村のヤバさをエンタメ化した「今ウケる感じ」のやつと思わせて、話が進むなかで繰り返し語られるのは、人が人を搾取し弱者が踏み躙られるという社会の醜さのことで、戦争・村・一族は単なる設定や舞台装置でなく、すべてがその普遍的な構造のもの。
そしてそれは「東京も同じ」で「残念ながら今も変わらん」という結構メッセージ性の強いおはなしだった。
スタートからして、戦後日本のまちや会社や列車の風景描写が暗くて汚くてタバコ臭くて決して美しくコーティングされてないのも大変良かった。陰鬱な雰囲気を演出するだけじゃなくて、血液銀行というのがすでにその象徴だったんだな…
そしてラストの改変に涙。
