ジブリにも宮崎駿にも特段思い入れはなく、観たのは「千と千尋の神隠し」くらいまで。
よく観たなと思うのがカリオストロとラピュタくらいのほぼにわか状態で鑑賞。
とにもかくにも初めから最後まで宮崎駿なのは伝わってきたものの、特段新しさは見出せず、どこかで観たような絵面にどこかで観たようなお話が続いて、まるで走馬灯のような作品。
異世界モノではあるけれど、結局は近くて狭い世界の直接的なメタファーなのもあってか、何かもうひと押しが足りないように感じてしまった。しかしながらうねりを伴う異質さを感じさせる動きはかなり印象深い。
子供達にはわからない部分や合わない部分がありそうで、夏休み映画であったり、金曜ロードショーで繰り返し観るタイプの映画ではないのかもしれない。
たぶんこれは生粋のジブリファン、いや宮崎駿ファンであれば思う存分楽しめる作品なんだろうが、自分はさにあらず。
そのため、面白かったという人の気持ちもわからないでもないし、面白くなかったという人の気持ちもわかるというどっちつかずな感想に留まり、最終的にはカルトかつアートな私小説的作品だったのではないかと思った。
近くはないけど、なんとなく「こんな夢を見た」で始まる黒澤明の「夢」に通じる印象も受けた。
これをあの歳の巨匠が作るのだから、そりゃ若者たちに「君たちはどう生きるか」と言いたいのも仕方がない。