高級フレンチを食べに行ったら、1800円くらいのラーメン出された感じの作品だった。
宮崎駿という神格化された人物が作る、もしかしたら最後かもしれない作品。
PRは一切無し。
前情報は全然なく、既に観た人のネタバレをくらわずにまっさらな状態で観ようと、公開数日前から情報をできるだけ遮断し、観に行く日まで生活の節々に気を遣ってきた。崇高な作品を純粋に観るための、さながらドレスコードのよう。
そしていざ観終えて思ったことは
え?これ?
という感想だった。
高級フレンチを食べに行ったのに1800円くらいのラーメン出された。そんな感じ。
でもここで重要なのは、ラーメンはラーメンでも1800円のラーメンだということ。
たしかに高級フレンチかと思ったらラーメンという、思ってたのと全然違うもの出された肩透かし感は凄い。
ただ1800円。
ラーメンとしてはすこぶる高級。
言っても宮崎駿作品。
アニメーションに関しては間違いなく素晴らしい出来だった。
ところどころでいろんなジブリみを感じる演出もあった気がする。
ただストーリーに関しては、正直ファンタジー色強めで、いろいろ説明にも物足りなさを感じる。
なんかわからんけど『ブレイブストーリー』観た時を思い出した。
『もののけ姫』や『千と千尋』といった、分かりやすくも濃厚で面白いストーリーを求めて観に行くと、たぶん凄く肩透かしをくらう。
でもいま思えば、『ポニョ』、『コクリコ坂から』、『風立ちぬ』が面白いストーリーだったかと言われれば少し悩むし。
別監督作品だけど、以降の『かぐや姫の物語』、『レッドタートル』、『アーヤと魔女』とか、もう何がしたいのかわからん迷走っぷりを経ての今作だと思えば、まぁこんな感じにはなるかという納得も正直ある。
ファンタジー色は強いけど、ストーリーの主軸自体はシンプル。それでいてアニメーションが素晴らしいから、たぶん小さい子供が観たら夢中になりそう。
逆にいろいろ考えながら見すぎてしまうような大人には、なんかとっつきにくさがあったり、この演出には何かがあるはずという、本当にあるのかどうかわからない答えを求めて、出口のない暗闇に潜っていってしまう気がする。
なので個人的にこの作品の観るべきスタンスは、変な期待値みたいのは一旦外して、ジブリのアニメーション技術を観に行くというのが正しい気がする。