エイデン

マダム・ウェブのエイデンのネタバレレビュー・内容・結末

マダム・ウェブ(2024年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

1973年、ペルー
科学者のコンスタンスは、妊娠中の身体を引きずりながら、新種のクモを発見するためアマゾンを探索していた
そのクモが持つ毒には細胞を活性化される機能があるとされ、多くの人を救う治療が期待できるという
そして遂にコンスタンスは新種のクモを発見するが、案内役だった探検家エゼキエル・シムズが突如として裏切り、研究チームを殺害
クモの毒を使い、その地に伝わるクモの能力を持った伝説的な先住民“ラス・アラニャス”のような超人的なパワーを手に入れようと目論んでいたエゼキエルは、必死の抵抗を見せるコンスタンスを銃で撃ちクモを奪い去っていく
1人残されたコンスタンスは瀕死の重傷を負うが、そこへラス・アラニャスのサンティアゴが現れる
サンティアゴはコンスタンスを洞窟の中の湖に連れて行き、彼女をクモに噛ませて毒の力で出産を手伝う
そして取り上げられたその子を見届けたコンスタンスは、静かに息を引き取るのだった
2003年、ニューヨーク
コンスタンスの娘カサンドラ(キャシー)は、救急隊員として働いていた
しかし死の間際までクモの研究に費やし命を落とした母に対しては複雑な感情を抱き続けており、キャシーは今や周囲にも完全に心を開かない一匹狼
そんなある日、キャシーは相棒であるベン・パーカーや隊長のオニールと共に橋の上で発生した交通事故の現場へと駆けつける
橋から落ちそうになっている車から男性を助け出したキャシーだったが、直後 バランスを崩した車に巻き込まれ、川に転落してしまう
その中で臨死体験をしたキャシーは、奇妙なビジョンを目の当たりにしたところでベンに助け出され蘇生するのだった
後日、キャシーとベンは花火工場の火災事故現場へと駆けつける
そこでキャシーは、オニールが事故に遭う様子のビジョンを目撃
そしてオニールがビジョンの通りに事故に遭い、帰らぬ人となったことで、キャシーは自分が未来を予知していることを知る
その頃、クモ毒により高い身体能力を得て、大企業のトップに上り詰めていたエゼキエルは、夜な夜な3人の“スパイダーウーマン”により殺される未来を予知していた
それに苦しむエゼキエルは、人工衛星の監視システムを掌握すると、ジュリア・コーンウォール、マティ・フランクリン、アーニャ・コラソンら3人の少女がいずれ自分を殺すヒーローとして目覚めると特定
エゼキエルは彼女らを殺害し、未来を書き換えるために動き始める
一方、オニールの未来を変えられなかったことを悔やむキャシーは、グランド・セントラル駅で電車に乗ったところ、偶然乗り合わせていたジュリアとマティ、アーニャがエゼキエルに襲われる未来を予知
混乱する3人を無理やり電車から降ろしたキャシーは、間一髪で3人がエゼキエルに殺される未来を阻止する
そしてキャシーは、予知能力を使い執拗に追って来るエゼキエルから3人を守ることを決めるが・・・



マーベルの“スパイダーマン”関連キャラクターによるシェアード・ユニバースシリーズ、ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース”4作目

これまでの『ヴェノム』シリーズ、『モービウス』はヴィランをアンチヒーローとして再解釈する試みだったところを、今回は初めて純正ヒーローの“マダム・ウェブ”を主人公にした作品
とはいえ原作のマダム・ウェブは、盲目で重症筋無力症を患い、クモの巣型の生命維持装置に繋がれた高齢女性で、前線で活躍するわけではなく、ヒーローのサポートキャラという印象が強い
本作では若々しく、原作のイメージとはかけ離れてるけど、おそらく2代目マダム・ウェブのジュリア・カーペンター(原作におけるジュリア・コーンウォール、2代目のスパイダーウーマンでもある)の設定と混ぜたのだと思われる

そうした予知能力者ヒーローとして覚醒したキャシーを主人公に、いずれヒーローとなる3人を守るサスペンス・アクションというのが本作
これまでの主人公である“ヴェノム”や“モービウス”とは異なり、能力の性質上 アクション要素はやや控えめではあるけど、同じ予知能力を題材にした『NEXT -ネクスト-』のような、独特の演出は面白い
まあ劣化スパイダーマンみたいなヴィランのエゼキエルも含めて地味な印象を拭い切れてるかというと思うところはあるかな
なお、「マーベル初の本格ミステリー・サスペンス」とかいう煽り文があったけど、ミステリー要素に関しては早々に色々わかるので特に無い

内容としては、キャシーと母の関係が明かされるのと並行して、3人との家族愛にも通じる絆が育まれていくのは良さげ
またキャスティングも良いので、3人のわちゃわちゃしてるだけでも微笑ましい
みんな性格違ってドチャクソ可愛いので、その辺りは画になって良かったかな

対して展開自体に今ひとつ突き抜けた面白さが無いのはややキツい
どうしても戦えるヒーローではないのでアクションは少なめで地味、かといって予知能力を用いた心理戦みたいなものを想像していたけど、そうした描写も余り無い
先に褒めたような人間ドラマパートも、アクションパートがあることもあって展開が矢継ぎ早な感じもするのでバランスが中途半端になってしまっているので、何だか00年代の余りウケなかったSF映画を観ているような感覚に陥る
またベンおじさんの登場や、原作ではスパイダーマンをサポートした味方であったはずのエゼキエルがヴィランになっていることなど、おまけ要素的な気になる点ががそこかしこに見えるけど活かされてない
そして、そういえばソニーのユニバースは何処へ行ったのかというくらいに『ヴェノム』や『モービウス』との繋がりも無かったりする

というわけで酷評の嵐になってしまい、主演のダコタ・ジョンソンも、もう二度と演じないと断言してしまうなど、MCUに比べて風当たりは厳しい
シリーズとして一貫性が無いことも原因として透けて見えるあたり、予知能力が必要なのは製作側であることは明白だけど、ヒーロー映画としては一定の評価もあったりするので、まずは観て判断してほしい
シドニー・スウィーニーが可愛いということを
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