漱石枕流

スモールワールドの漱石枕流のレビュー・感想・評価

スモールワールド(2021年製作の映画)
3.2
サスペンスというジャンルに限れば、リアリティー度は私が鑑賞してきたなかで最低レベル! 正直、開始5分で「これはハズした!」と思った。「2時間近くあるのか? う〜ん、参ったな。どうしよう・・・」と。

ところが、意外と最後まで付き合えてしまったのだ。映像自体はチープじゃない。意外としっかり作られているのではないか思う。割り切れれば、上に挙げた欠点はそれほど気にならなくなる。まあ、寓話だと思えば済む話だ。

私は昔、タイにおける幼児売春や人身売買に興味を持って、何冊か関連図書を読んだことを鑑賞中に思い出した。邦画の『闇の子供たち』も観に行った。仏教国がなぜこのような犯罪の巣窟になっているのか、不思議な気がする。

被害者が幼いと洗脳しやすいということもあるのかもしれないし、貧しい分だけ外貨を効率よく稼ぎたいという思惑もあるのかもしれない。が、とにかく子供の人権が守られていない現実が空恐ろしい。

この作品はその問題意識を抽出するために、ドラマとしてのリアリティーは犠牲にしたのかもしれない。それはわからなくはないのだけど、もっと違うアプローチもあるのではないか、という気がした。

[オリジナル音声+日本語字幕]2023/09/04 WOWOWシネマ
漱石枕流

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