ギャス

スモールワールドのギャスのレビュー・感想・評価

スモールワールド(2021年製作の映画)
3.2
児童誘拐事件を追うシリアスな映画かと思って見ていたが、どうも様子がおかしい。
シーンの作りがゲスい。チープ。不快。

真面目な映画かゲスな映画かというギリギリの映画で興味本位の観客を呼び込み、児童誘拐や人身売買や性犯罪がどのように行われどれだけ罪なことなのかという実態を知らせるという戦略だとしたらある程度の成功だ。

ネタバレ
これは実際を取材したものなのだろうか。誘拐された子供の思考回路の歪み、刑事の性的嗜好が揺れる描写、夜に来る悪魔(悪夢を見る事)、ロシアの腐敗まで含め。

半裸の子供の写真や安っぽい悪魔崇拝パーティにも辟易したが、しかし現実の世の中ではこれよりももっと残酷で最低な犯罪が行われている、それだけはわかった。人身売買ビジネスは薬や銃のように急成長しているという告発も。

ラストの皆殺しは文字通りなかなかのカタルシス。刑事の取る自殺的行動は、少しでも性的嗜好が子供へ向いた者は死すべしという、物語としての潔さなのか。カウンセリングの可能性も知らしめられればよかったのにと個人的には思った。もう死ぬしかないという裁きなら、今もし悩んでいる人がいても表に出て治療する気持ちにはならないだろう。いろいろと深掘りがされていなくもないのだが、そこまで配慮のセンスのある映画ではなかった

ペドフィリアは悪魔崇拝と通じている的な短絡思考と、組織の女性フォトグラファーへの指や目への暴行はやはり気になった。特に後者は映画的バランスに欠け、不快しかなかった。酷いことをされるのは女性ばかり。
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