あもすけ

三茶のポルターガイストのあもすけのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

現象を捉えた映像の説得力に全部が集約される。始まってすぐナレーションのトーンと映像のバラエティ感に腰砕けの気持ちになるし、再現ドラマの蛇CGに己の表情見失う思いだし、怪談を語る人選が究極胡散臭すぎて聞き流してしまうし、という一連は別の意味の楽しみを見出せたらいいのかもだけど私は無理で、ちょっと心折れそうになる。こっくりさんの扱いも作品内で共有される信頼度とは温度差があって、文字列の意味は受け入れ難い。ただ、こっくりさんをしながら質問を繰り返すたび、いろんな現象が起き始める。こっくりさんをする人間と空間が呼応するみたく、互いにテンションを高めていく。「ちがうよ」という声にびびる。コインを「ちがうよ」と動かして伝えるのではなく、声で「ちがうよ」と言ってくれるって何。ずっと揺れてしまう。この作品より前のニコ生から新耳GメンからYoutubeからずっと興味深くて、すげーと思いながら半信半疑に揺れ続けてしまうのは自分で体験してないからで、体験しない人間にも目に見える形で示してくれるから凄くて、だからこその胡散臭さも感じてしまうし、あってほしいという気持ちがあるから疑念も生まれて、だからもっと奥まで見たくなって、この作品は見せてくれた。各分野の専門家を呼んでの検証パートに入ってもそれぞれの肩書きやキャラクターが一筋縄ではいかない。その流れで内装の人の検証めっちゃ面白い。人為的な仕掛けではない、というのを次々に説明するのだけど、天井の手が出た箇所にも水の出る鏡にもまったく何もないわけじゃない。それぞれになんらかの引っ掛かりがあった上で、でもだからといって無理だし、という流れが面白すぎる。ことごとく最後の一線を保持し続ける現場の妙にだんだん感動してしまう。そしてついに最大の見せ場、横澤代表を交えてこっくりさんをする最後の場面は、圧巻だった。ただごとじゃない壁を乱打する音と照明の明滅、さらに手。ヨコザワ・プロダクションのたぶん秘書的な人の手持ちカメラの映像が、この作品内でも屈指の素晴らしさだった。理屈で否定するのも理屈で肯定するのもぶっちぎって、映像が語っていた。手が引っ込んでいった隙間をゆっくりかき分けるようにして映していくカメラの動きには、そこにいるであろう存在への畏怖の念があった。臆して半端にやめたりはしないけど、ぐいぐい進む手つきには乱暴さは感じられなくて、ものすごく気を使いながら余すところなくとらえていく。手が引っ込んでからの方がずっと長いあのワンカットが、この世ならざる手だけでなくカメラワークもふくめてとても神秘的で素晴らしくて、ぐっときてしまった。職場として存在と長いこと場を共有しているのだから、そんな感じにもなるのだな。あれが観られたからこの映画を観てよかった。まさにドキュメンタリーだった。前半の感じから最後こんな気持ちになるとは思わなかった。むしろ私のヨコザワ・プロダクションに抱くあらゆる気持ちをこの作品に散りばめたら、前半と後半のギャップもしっくりくる気がしてしまう。そういう感じでずっと興味深く追ってしまうところある。ゆれてるの好きな気持ちある。おもしろ。
あもすけ

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