あもすけ

戦慄怪奇ワールド コワすぎ!のあもすけのネタバレレビュー・内容・結末

5.0

このレビューはネタバレを含みます

振り向くな。とにかく前に進め。劇中の台詞にも何度も繰り返されたこの意思が作品のあらゆる要素に込められていた。感情と肉体が映像にも宿り、物語の推進力に加担していく。いったん帰ろうと後ろに振り返っても強制的に前を向かされる。だったら行ったろうじゃねえかとなればぐいぐい押してくる。説明は簡潔に済ませて、走り出したら止まらない。ひたすら突き進む。全体で立ち止まる場面を思い返した方が早い。数えられる。しかも立ち止まったとて、次の方向に進むまでの決断超早い。怯むのも一瞬で、誰かが速攻ケツ叩いてまた走り出す。孤立して超ビビっても即合流。行ったれ。知るか。やったれ。たびたび工藤を制止する役割も担っていた市川だってもういけいけどんどんに煽りまくる。コワすぎ!シリーズの発明や遺産が惜しみなく投入されて、それらも尽く「いったれ!」の精神に加担する。なにこれ、と思うことによるブレーキもない。知ってる。きたきた。よっしゃやってやれ。そういう暴力的な推進力に呑まれながら乗っかって一緒に突き進んだから、呼びかけられても言われる前からやってたわ、祈ってたわ、と没入感を阻害されることもなかった。振り下ろすバットに心のっけてた。鮮烈で爽快だった。熱に浮かされて駆け抜けたあとに、激サムの歌にいたたまれなくなってバケツで冷水ぶっかけられた気分になって、これで終わったんだぜ、とケツ蹴られるみたいに上映終了したとたん席を立って映画館出てからも歩く速度めっちゃ速かった。すっきりした。さっぱりした。完璧に終わらせてくれたんだと感じて、シリーズの継続を願う気持ちなんて無くなった。コワすぎ!の決着として完璧だった。もし次あればもちろんまた観るけど、ファンとしての熱量で観るのとは私は違うんだと思った。白石監督のこれからの作品には熱がんがん向けるとしても、私にとってのコワすぎ!シリーズは完全決着して満たされた。赤い女の、刃物込みのあのフォルム最強だった。笑いながら観る感じでは全然なかった。激熱だった。これからの人生で何回も繰り返し観る気がするけど、その度にケツ蹴られると思うし、その度によっしゃ行ったれで前向くと思う。コワすぎ!シリーズ好きになってよかった。辛い夜にはまた蛇女も観るし。
あもすけ

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