あもすけ

三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実のあもすけのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

こんなに真正面から赤裸々に応え続けるのかと、三島由紀夫の語りに魅了された。真面目に、と前置きしながら語ったことに笑いが起こるのもそりゃそうだろうとも思いつつ、序盤からみせるユーモアとは別種の想いがそこにはあったし、だから笑いが起きてもそれに呑まれず迎合せず、いかに本気であるかというのを訴え続ける。それだって反応を無視するのでもない。どんな反応がこようと常に言葉と姿勢と表情とその場で生きるままに受け答えをし続けている。それがあるから芥正彦の去り方めっちゃ喰らう。なんであの去り方なのかを、観終えてからもずっと考えている。彼の登場の瞬間から鮮烈で、今のインタビューも強烈で、ふたりの議論で急加速してくのも印象的だし、いまここで殴れも、邪魔な茶々を手で制するのもどれもずっと追っかけてしまうから、あんな去り方!と虚しくなる。議論の終わりに向けて双方の熱は高まっていくし、しびれる応酬の連続で締め括りもグッとくるし、あんなに真っ向からぶつけ合って見えてきたものがあって、それでも決して相容れない一線の存在まで晒せば、呆れるほどに認め合ってしまってるんだろうと思うその充実感が残るところに、でもそうか、芥がいないのはそれが彼の拒否だし抵抗だし、三島の拒否の色とは違うし、感想をいま書いていて、だんだん納得してきた。とにかく三島の表情と目が素敵よ。芥の去った直後にタバコ吸ってる表情、目、たまらん。どこまでも自分自身で受け止めてみせるのだから。
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