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マエストロ:その音楽と愛とのyuuuumiのレビュー・感想・評価

4.3
ブラッドリー・クーパー監督・主演、キャリー・マリガンや、海外ドラマ『ホワイトカラー』のマット・ボマーも共演。

レナード・バーンスタインとその妻であるフェリシアの過去が交差したり、時には交わりながら物語は進行していく。

バーンスタインは極度のヘビースモーカーだったらしく、劇中でも常に喫煙シーンがあったり、若かりし頃から晩年期までをメイクで見事に再現しているのが素晴らしい。

バーンスタインが携わっている作品で知っていたのが『ウエストサイド・ストーリー』であるが、この劇中でも男女入り交じってのダンサー達のシーンがあり、ウエストサイド・ストーリーの中のワンシーンが思い浮かんだ。

この作品ではバーンスタインの活躍を知る事ができるが、バーンスタインの感受性豊かな内面にスポットが当てられていて、妻であるフェリシアを愛しながらも、音楽を愛し、バーンスタインの心の中に分岐して存在する人を愛するという部分が描かれていた。

音楽家というアーティストとは、偉大になればなるほど、音符という決まった小節(楽譜で、縦線で句切られた区間)の中に決められた拍数しか存在できない窮屈な世界だけではなく、小節に入りきらない感情という音符に強弱を入れ、解き放たなければ受け取り手の心には響かないのだろうというものなのだろうか。
成功すればするほどフェリシアとの人生の楽譜に休止符が打たれていく様子はとても悲しかった。

キャリー・マリガンは、愛しているからこそ腹も立つし、許せないこともあるという葛藤を見事に演じていたし、ブラッドリー・クーパーは、心を偽ることなく解き放つ、純粋なバーンスタインを見事に表現していた。

言葉だけでは表現できない感情を音楽で表現する事は素晴らしいし、とても満たされた人生を歩んだバーンスタインとフェリシアの素敵なラブストーリーを味わった。
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