人は死んだら、どこへ行くんだろう。
突然その時が訪れてしまったら、何もかも忘れて眠りにつくのか、この作品のように現世に未練を残し、死んでも希望と絶望で涙を流すのだろうか。
きっと何歳になっても、明日は訪れるだろうと思っているだろうし、完璧に準備して死んでしまうことはないだろう。
この世に裏側の、死者の世界がもし存在するのなら、この世界のように会いたいと願う人を思い、希望を抱いたりするのだろうか。
私はもし、もう一度その人に会うことができるなら、大切なその人を思いきり抱き締めたいと思う。
その人は今過ごす日常の空気となって、側にいて見守ってくれているのだろうか。
死後の世界にこのような未練を残した人がいたとしても、現世では時は止まってくれないし、喜びを自分と共有することがもうできないと思うと、ただ悲しい。
その言葉が最後の言葉になっても良いように、『ごめんね』とか、『気をつけて帰ってきてね』や『またね』という言葉を生きてる時に、生きてる人に届け続けたいと思う。
もっと一緒に出かけたり会話したり、死んでしまったら、後から思ってもその人と過ごすその時間は決して戻ってこないし、『もし』はないのだ。
思い残すことのないように、自分自身が納得できるように過ごしていきたいと思えた、心温まる作品だった。
