コット、はじまりの夏のかわさきのネタバレレビュー・内容・結末

とっても素敵な映画だった！観て良かった。
コットは兄弟が多いせいで親から充分に目を向けられていなくて、大人しい性格もあってかなかなか辛そうな毎日を送っていた。
すぐに心のコップから悲しみが溢れ出ていっちゃうの、すごく共感出来た。0か10でしか判断が出来なくなってしまうの、自分もすごく辛いんだけど心を守る為にはそうするしか無いんだよね…。
挨拶とありがとう、ごめんなさいが言えない子はなかなか社会では難しい。でも子供本人はそうなりたくてそうなったんじゃなくて、そうならざるを得なかった。育つ環境が子に及ぼす影響について深く考えた。
ダンは奥さんに多産DVをしているようなものだよね。ギャンブルもしちゃってるし、今いる子でさえ手一杯、牧草も刈れていないのにどんどん子供を産ませるなんて…。親になる資格が無いよ。いつからそうだったんだろう。支配欲の成れの果て？
コットはアイリンとショーンの愛情を受けてどんどん表情や行動が柔らかくなっていったけど、息子さんが亡くなっていたことを聞いたら自分への優しさの由来を疑って苦しくなってしまいそう。
でもコットが受けた愛は偽物じゃないし、コットが2人に向けた優しさも偽物じゃない。
お葬式の後一旦預かってくれたおばさんの言動が最悪すぎた。黄色のワンピース、よく似合ってるのに！要らんことばかり言いやがって。ああいう噂好きのやつがいる環境で生きてきたアイリンとショーンも、なかなか辛い生活をしてきたのだろう。だからこそ沈黙の価値を分かっている。
コットが帰ってきた時の家族の反応が辛かったな。兄弟間でのコミュニケーションが取れていないのがよく伝わってきた。多分、何でコットだけアイリンとショーンの家に行ったのかもよく分かってなさそう。
ダンが言った家出娘って言葉何？？？自分らで決めたことじゃないの？？？どっち側が提案したのか知らないけどさ。冗談でも無さそうだし、傷つけて悲しみで支配したいの？子供の幸せを願えない親って何？
アイリンとショーンはダンを見てとってもイライラしているだろうな。自分たちは子供に愛を向けていても失ってしまったのに、ダンは愛してなくても子供は健やかに育っている。やるせない。そんな中でも預かった気持ちを考えると…。
最後に駆け寄って抱き合うコットとショーンを見て、ダンは自らの愛情不足を思い知っただろうか。私は、恐らくコットは元の家に戻ると思うけど、心の拠り所が出来たからって今までの家で上手く生きていけるかな。
でも間違いなくこの夏がコットの人生を変えるきっかけになるだろうと思う。
優しい人に報われて欲しいと強く思った。声が大きい人ばかり報われた風になるのは不健全だとすら思った。
思ったよりウッとならなかったし、色々考えるきっかけになるし多くの方に観てもらいたい名作だと思う。