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ソウルメイトの中のレビュー・感想・評価

ソウルメイト(2023年製作の映画)
4.5
愛憎まみれた2人。
アンビバレントな感情は彼女らを祝福するものであり同時に痛みも与える。

愛することも、憎むことも、相手を想ってることに変わりはないよな。
ただの友達やったらジヌの件で縁切れるもん。
計算高く騙しあって、お互いが積み重ねてきたものを壊し合って、、、
人生の時期によって求めるものが変わっていくのは当たり前で、今上手くいかへんからって過去が無意味にはならへんけど、やっぱり一度憎んでしまうと縁が切れてしまうことが多いと思う。
それでも、価値観や生き方がズレたとしても、そばにいたい、愛したいって思えるのすごい素敵やな。
ソウルメイトとしか表現できひんわ。

「クソやけど好き」っていい意味で諦めてる。諦観とか悟りに近いんかな。
「クソやけど好き」、ここに人間の尊い部分が表現されてる気がするわ。
安易に楽になりたいから依存してるわけじゃなくて、手段として依存があって、客観的には良い人生に向かわへんけど彼女たちの主観では確実に良い方に向かってる。
依存は相手に依って存在すること。自分1人だけで生きられるはずがないから、依存そのものが悪ではない。
他者に自分の価値を委ねたら悪い依存なんかな。両親のためとか思って島で教師を続けてたらハウンは辛かったやろうな。

あれだけ傷つけ合ったのに小説の中の2人はなんとなくこれから先は上手くいきそう。
ミソとハウン補いながらめっちゃええお母さんになりそう。
そう感じるのはお互い相手の痛みが分かるようになったからなんかな。相手のことが自分のことのように感じるから。
産んだ子供を預けて、母としての自分を捨てまで、ここではないどこかに行くことを抑えきれない想い。
愛するパートナーを失う想い。
どっちも強烈やと思う。人生を変えてしまうほどに。

旅したくなるのって、ユートピアを求めてるからじゃないんよな。求めてるここではないどこかは、自分の知らへん人とかものがある場所。

お互いの人生を入れ替える流れも最高。
立場を交換することでお互い追体験できるんかな。親密な雰囲気、尊敬が含まれてる好意を感じた。

ハウンが出産で亡くなったからミソが小説でそうじゃなかった世界を書いたって展開、めちゃくちゃ劇的やのに完全に忘れててまた感動した。
俺はこれで救われたのに忘れてた。
良い作品に出会った時に感じる、また記憶を消してこの作品と出会い直したいってやつが偶然できた。最高に幸福やった。

あと、「彼はこういうダサい下着が好きなの」はヤバいな。これジヌに聞こえてたらジヌ発狂もんやろ。
ジヌの軽薄で未熟な印象は彼女らの美しさを際立たせるんやけど、主体性のなさにちょっと気持ち悪い瞬間もあった。
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