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52ヘルツのクジラたちの中のレビュー・感想・評価

52ヘルツのクジラたち(2024年製作の映画)
4.0
孤独。
誰とも共有できひん、伝えられへん、自分だけの自分。
友達や恋人、家族がいても彼らが心のよりどころになるとは限らへんくて、むしろ互いのエゴがぶつかって傷つけあうことの方が多いんかもしれへん。
孤独に生きる彼らが崩れ落ちながら叫ぶシーンは良くも悪くも印象的やった。
傷つけあったとしても、ぶつかりあう中でしか得られへん自分を互いに見つけられたら素晴らしい瞬間になるんやろうなと思う。
それをキコは求めてたし、他のみんなも求めてた。

子供が弱者たるのは、純粋で無知やからかな。
子供がドツボにハマっていく様子はほんま見てられん。狡猾に痛みや恐怖を利用して、自分の都合の良いように子供を搾取する親ほんまムカつく。
キコに縋る母親なんかおぞましかったな。
母娘の語る「好き」が完全に嘘ってわけじゃないんやろうけど、好きの先に未来はないし偏り過ぎた好意やと思う。
キコがトラックに飛び込もうとしたあとに連れて行かれた居酒屋の精神状況って明らかに自己責任じゃないわ。

セリフがクサいのは原作に沿ってるからなんかな。演技もやり過ぎなくらいやから冷める人とか笑ってまう人もおりそう。
あと、冒頭から結末までまあまあ胸糞悪い展開が続くから精神が落ちてる時には観るとしんどいかも。
要は、ビジュアルとか作品名から想像するよりトガった映画やった。
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