よん

ビヨンド・ユートピア 脱北のよんのレビュー・感想・評価

3.9
北朝鮮というその国の、何について聞いても「いやそんなまさか」と薄っすら思い続けて生きてきた自分と、その真逆を80年の長きに渡り生きてきた画面の中のおばあさんは、互いに別の選択肢への想像力がないという点で共通しているのだけれど、選択肢を増やすことを許される自分と、それを決して許されない彼の国の人たち。
いったい何が違うというのか、母があり子があり、菓子を食べたら美味しくて、キレイな色の洋服が好きで、壮絶な逃避行の道の途中で、それでもなお故郷を懐かしむ歌を口ずさむあの一家と、私たちと。
絶句し、絶望し、ただそれが現実のことなのだと言い聞かせ、飲み下し続ける2時間半。

作品として4の壁を越えられないと感じたのは、この状況を引き起こすにいたった政治・軍事的事実について、アメリカ製作である故に、「勝った側の解釈」が適用されており、この地に脈々と流れてきた歴史(それは、海を超えた隣国である我々と同じ種類の土と風だと感じる)を理解し踏み込むに至っていないと感じたため。北米では「極東の悲惨な事実を写した貴重なフィルム」であろうが、韓国や、中国や、日本の観客が見たとき、結局製作陣もこれをパラレルワールドのフィクションとして消費しているのだろうな、と思わせる点には目配せすべきと考える。

"나라를 못 만나서 그렇지, 애가 무슨 잘못이야, 나라를 못 만나서 그러는데"
"원만 정도가 아니죠, 저는 분노를 가지고 있습니다 나라한테"
"저희 국민이 좀 더 열심히 잘 했었으면 원수님께서도… 우리 나라가 풍부할텐데"
같은 나라에 태어난 3명의 그냥 슬픈 말들…보면서 내가 이 사람들 어떻게 도와줄 수도 없는데 왜 이런걸 굳이 봐버리는걸까 하면서도, 그래도 내가 눈 감고만 살아갈 수 없다고 다시 마음 먹고 보고, 이 영화를 본 의미를 생각하면서 타는 지하철… 이쁘고 좋은 옷을 입고 웃으면서 다니는 사람들으로 가득한 일요일의 오후…
よん

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