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ゴッドランド/GODLANDのasobunのレビュー・感想・評価

ゴッドランド/GODLAND(2022年製作の映画)
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地味過ぎる作品だか不穏な緊張感を漂わせながら、絵画的な構図のカメラワークが随所にあり惹きつけられ、目が離せない。広大で悠久とも感じられる自然豊かな風景に長閑さを感じながらも、その果てしなさが少し恐ろしい。
劇中に流れる劇伴が、前半では不協和音の様な不穏で陰鬱な雰囲気を充満させながら、後半では長閑な風景と相まって、雲間から差し込む光と響き合っている様で、それが違和感なく、素晴らしい。
前半の船酔いしそうな激しい揺れ、止まない雨、泥濘んだ草地、燻んだ空、溺れそうな程高い湿気、白夜、神父や通訳、案内人一向を陰鬱な空気が覆う。絵画の様な雄大な自然ではあるが、どこか生命を寄せ付けない無慈悲さと虚無感が覆う。派遣される神父も結構、神経質で性格に難ありって感じが初っ端から漂っている。現地の言葉を覚える気もないし、暗いし、利己的で聖職者として傲慢なのでは?って感じ。
後半の介抱してくれた村人との交流によって、前半の陰鬱さと打って変わって、晴れ間の一時、長閑な風景、人、音楽、建設途中の木枠だけの教会が神父と村人との風通しの良い関係性を互いに築こうとしている様な象徴的な場面。ただラスト辺りはそうとも言えない状況がなんとも…広大でカオスな表情を見せる自然の前に人間の生命と諸々の使命なんて風の前の塵に同じ、まさに諸行無常、大河の一滴に過ぎないちっぽけさ。
唯一の癒しは犬。
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