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夜明けのすべてのBusceoのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
4.1
ながーいモノローグによる冒頭や、メンタルヘルスイシューがわかりやすく提示される序盤で一瞬警戒したが、さすがそんな安易なドラマに流れたりすることはなかった。

社会批判的な問題提起でも情緒に訴え生きづらさを描くでもなく、地震で崩れた建物の中でキレちらかす萌音ちゃんの危機に、北斗くんがパニックを乗り越え炎の中から助けに来たりするスペクタルもなく(と書いてたらそれはそれで見たくなった)、由宇子の天秤見てしまったので光石研が何かしでかさないかと緊張したがそれもなく、あるとしたら栗田科学株式会社のプロモーションなのだが、メンタルヘルス当事者によるセルフヘルプというよりもっと大きな互助を感じさせるというか、陳腐な表現だがコミュニティの大切さがジンワリと沁みこんでくるような暖かみがあった。

昨今の原作改悪問題や、安易な恋愛展開批判があふれていますが、そのせいか今作は逆に「いや、でも、ちょっとぐらいはお互い気になっちゃったりしてもいいん…やで…?」と思ったりもしました。
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