ほ

夜明けのすべてのほのレビュー・感想・評価

夜明けのすべて(2024年製作の映画)
3.9
三宅唱監督の撮る街と光がすきだなあ。山添くんが自転車で街を走るシーンは引きの画が優しくて、とっても気持ちよかった。ただの市井の人間であることの歓びを感じる。

私の中で良い作品とは、その中に出てくるすべての要素がぴったしハマってて必然だと思えるものなのですが、この作品もそうだった。最初観ながらプラネタリウムの制作キットを販売している栗田科学と、PMS・パニック障害と、グリーフケアがどう繋がってくるかピンと来なかったけど、終盤のプラネタリウムのシーンでしっくりきた。自分ではどうにもならない"夜"を抱えた人たちの話なんだな。変わらないものはなく、無常の世の中だけれど、人と影響し合いながら、自分の夜を受け入れて生きる。
ちょっと本筋からは外れるかもですが、家族の介護を中心とする人生を選ぶというのは、『赤毛のアン』でアンが大学進学よりも目の悪い育ての親と暮らすことを選んだシーンを思い出す。人にはもったいないとか、自分の夢は?とか言われるだろうけど、それを選択する人生も尊いなと思う。

最後のシーンでお天気雨?が降っていたのは何だったんだろう。暗い激しい雨から始まり、暖かな柔らかい雨で終わる映画ということなのかな。
ドキュメンタリーを撮る中学生、良かったな。
ほ