このレビューはネタバレを含みます
何年か前の私なら好きだったかもしれない…が…とても不完全燃焼…．
トランスジェンダーを扱い、身体的・精神的苦痛に焦点を当てているところは非常に意義のあることだと思ったのですが、人の死の扱いが雑すぎると思ってしまった。
りんがバレエを舞いながら屋上から飛び降りるシーン、フラグが立ちまくりだったのでこういう展開にならないと良いなあと思っていたら安直にもそうなって悲しかった。
自死に至る理由と認識できる事柄は描かれているものの、「りん」という人間の描かれ方が表層的で、この子の人生に対する誠実さが全く感じられない。こういうシーンが描きたかったから死なせただけのような気がする。
他の登場人物に対してもありふれた描き方になってしまっているような印象を受けた。
また、凪沙やみずきに関しても、一昔前はTV等で明るく自虐的にふるまう文化が定着していた「オネエ」がホルモン注射や手術を受けるにあたって命に関わるリスクを抱えている(実際は凪沙のような事態になることは稀なようだが)ことを映しており、考えるきっかけにはなるものの、
LGBTQを題材として描く作品が増えている今、悲劇的な展開だけではなく、当事者が苦痛と向き合いながらどう生きていくかを描く作品が観たいと思った。
