ゆかちん

ボストン・キラー:消えた絞殺魔のゆかちんのレビュー・感想・評価

2.9
実際の事件とそれを追う人々の話。
zodiacみたいなやつかなぁと鑑賞。

実話だから仕方ないけど、観る側の期待するような展開になることはないし、派手な盛り上がりもない。
しかも、一応解決みたいにはなってるけど、ほんとのところ、真実はわからないというモヤモヤ。
でも、1960年代という時代の雰囲気、当時のボストンの空気感、出演者の演技が相まって飽きずに見れた。

本当のところは、最後の女性記者たちが筋立てたことだったんじゃなかろうか…と、私も思った。




1962年、ボストンで女性が自宅で殺害される事件が立て続けに発生。共通していたのは、被害者が犯人を怪しみもせず自宅に入れていたこと、殺された女性の大多数はストッキングで締め殺されているということだった。
しかし、DNA鑑定の技術も発達していなかった当時は、すぐに犯人逮捕には至らなかった。
そんな中で連続殺人事件の関連性にいち早く気づいて報道したのが、1961年にボストンで創刊されたばかりの「Record American」の新聞記者だったロレッタ(キーラ・ナイトレイ)とジーン(キャリー・クーン)だった。
彼女たちは自らの命を危険にさらしながらも、事件を解明するため独自の調査を進めていくーーー。




事件モノというのもあるけど、被害者も女性・事件解決に努力したのも女性ということで、フェミニズムというのか、そういうのにも焦点があるんやろね。
というのも、当時は女性の社会進出がまだ進んでおらず、「男は仕事、女は家庭」という価値観が強かった時代。まだまだ警察や男性記者たちにジャーナリストとして認められない時代。そんな時代の中、家庭を持ちながら事件解明のために働いてた人たちの話。

てか、当時のボストン警察の使えなさヤバいし、それに何も言えない新聞社も頼りない。

なんか、古い時代の女性の社会進出ものを見てると、男性の無能さが浮き出してくる。
男性だから無能というより、固定観念やシガラミでガチガチな人たちの無能さというのかな。
だから、今で言うなら性別よりも古い体制と新しい体制とか、そういうのにも言えるのかもしれない。

似たような事件が起きてるのだから、関連性も踏まえて探るのも必要でしょう。
もちろん、関連性がないことも十分あり得るし、むしろ関連性に囚われて真実を見誤る可能性もある。だから、最初は大々的に発表しないのは正しいのかもしれないけど、その可能性も含めて捜査したり、あと、別の州の警察と連携することも必要なのに協力しないとか。

zodiacもそんな感じだったような。
その情報連携や協力体制をしようとしないあめに事件解決を遅らせたり見誤ったりして。
被害者だけ増えていくという。

で、関連性がある連続殺人事件だーって世間が騒ぎだすと、警察への非難を避けたいし社会不安を起こしたくないから、「早く解決してもう終わった!」てするため、めぼしい容疑者が出てきたら、そいつが全ての犯人で、捕まえたからハイ全部終わり!て片付けてしまう。
…いや、そうじゃないでしょう…。

当時は、真実より正しいということで、見せかけの解決にした事件も多そうだね。

被害者が女性ってのもおざなりにされてた要因なんだろうか。
総じて、女性を陥れるのは男性なのかな〜女性の敵は男性なのかな〜みたいな事件やったな。

もちろん、DNA鑑定もないし、事件解決するには難しいことも多かったとは思うけど。
でも、あの弁護士のインタビュー聞いておかしいと思わないのは無能すぎんか?

おそらく、最後のロレッタ達の推理通り、何個かの事件は同一かもやろけど、あとはそれに乗じた殺人事件というのが現実的な気がする。

本当の悪人はデザルボの弁護士かもしれんけどね。


①働く女性の仕事での障害
②働く女性の家庭の問題
③警察の内部でも葛藤してる人はいる
④容疑者も自分が犯した以外の罪を背負わされたかもしれないという、弱い立場を利用されたかもしれない問題

…などなど、様々な問題の葛藤や理不尽さを、それぞれの役者を通して伝わってきた。



①女性記者は新商品の紹介とかばかりとか、取材にいっても下に見られたり。でも、ジーンはうまくやってる。努力はいるだろうけど、人と人との関係に持っていけば、うまく乗っていける。ロレッタも情報流してくれる警察の人と出逢えたし。

②ロレッタの旦那さん、理解あって最高やん!て思ってたけど、やっぱ段々辛くなるんやな〜。確かに、昇進は祝ってあげてほしいし、自分の仕事への尊厳があるなら、相手の仕事への尊厳も考えないとねぇ。。。
難しい。。。

③ロレッタに情報流してた警察の人、多くは語られなかったけど、多分苦労してたんやろな。だから辞めてしまったのかもしれない。そう思うと、なんか警察も大変やねんなーってなった。

④容疑者デザルボ役にデヴィッド・ダストマルチャン!悪役多すぎてw
彼も罪を犯した犯人ではあるけど、他の事件もくっつけられた感はあるね。確かに違和感。
早く解決したい警察、早く終わってほしい世論、金儲けしたい弁護士とが相まって、利用され、作り上げられ殺されたのかもしれない…と思うと、少し不憫にも思えた。
まあ、悪い奴は悪い奴なんやけど。
でも、デヴィッド・ダストマルチャンが演じてる雰囲気は、自分の家族のことも想っていて、自分の罪を償うことに専念した人生を送るべきだったのでは、と。
殺されたのがねえ。。消された…!てなるよねぇ。それはちょっとねぇ。。。



…てことで、モヤモヤのある事件やった。

周りの圧に抗って真実を突き止めようと努力した記者がいたということは素晴らしいと思うし、
一件落着みたいにされた後も、本当はこうだったんじゃないか?当時の問題はこうだったのでは?と、映画にするのはいいことだと思った。


キーラ・ナイトレイ、めっちゃ似合ってたな。
キリッと芯のある女性が似合う。
キャリー・クーンもカッコよかった!
多く語らずとも色んな苦労を積んで今の位置にいるのを感じさせる姐さん雰囲気。
ゴーストバスターズの時とはだいぶ雰囲気違ってた笑。
ゆかちん

ゆかちん