スカポンタンバイク

食人族4Kリマスター無修正完全版のスカポンタンバイクのレビュー・感想・評価

5.0
これは素晴らしかった。
イーライ・ロス監督「グリーンインフェルノ」の元ネタとしては認知していて、ずっと気になっていた本作。身構えながらも、心ウッキウキで劇場へ向かった。

とにかく意外だったのが、見せ物的に面白いという事じゃなく映画として物凄くよくできていて面白いという事だ。食人族というタイトルだから、それこそ「グリーンインフェルノ」的なスプラッターで泣き叫びたくなる感じかと思ったら、コンクリートジャングルに住む人間とグリーンインフェルノに住む人間を対比し、それぞれがそれほど遠くなく、等しく野蛮という様を描いており、社会派的な側面が強い映画だと感じた。トッド・ブラウニング監督「フリークス」に近いなぁと思った。
特に驚いたのは沼族の人間解体シーンとドキュメンタリー撮影チームが亀を解体するシーンが同じように演出されていた所。どちらも等しく残酷、いや寧ろ亀の方が本物な分、モロで最悪な気分にさせられる。
そして、ドキュメンタリー撮影チームはヤラセで無駄に沼族を刺激するというシーンは、彼らがいかに野蛮であるかを表現すると同時に、この映画そのものがやっている事だというメタ的なメッセージに繋がっている。だから、この映画は彼らの撮影フィルムと同じようにフィルムのキズの映り込み映像で終わっている。
表現としても凄まじいが、映画として物凄く上手い。

ただ、この映画のために殺された動物たちは、まぁちゃんと食べたとはいえ、気の毒としか言いようがない。あの撮影チームは地獄に堕ちていいので、動物たちは天国で救われることを願うばかり。