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ブルックリンでオペラをのBluegeneのレビュー・感想・評価

ブルックリンでオペラを(2023年製作の映画)
3.8
対人問題を抱えたスランプの作曲家とか、患者よりもメンタルやばめなセラピストとか、南北戦争のごっこ遊びで承認欲求を満たす法廷速記者とか、出てくる人がみんなズレている。前半はそれらの人々の日常が断片的に描かれ、この映画はどこに転がってくんだろ?と不思議だったのだが、終盤はあれよあれよというまにピースが繋がって一枚の絵になった。

登場人物それぞれの抱える問題がけっこう根が深くて、パトリシアは「両親がカトリックとユダヤ教徒で、カトリック系の寄宿学校で育った」というだけで頭が痛くなりそうだし、東欧からの移民と思しきマグダレーナは「まだ市民権がない」、つまり夫のように見えるトレイと正式には結婚していないことになる。そしてヴィラン役に該当するトレイは、高学歴の法曹関係者を内心苦々しく思っている模様だ。彼らに比べれば、「恋愛依存症」なる妙な診断を下されたカトリーナの方がよほどまともな人間である。

ところで、トレイがテレーザとジュリアンの交際に反対し、ひどく陰険な方法で追い詰めようとする理由が最初わからなくて、親がハイソだからゆすり目的かな?などと思って見ていたのだが、なんてことはない、ジュリアンが有色人種だったからなのね。テレーザがレイシストというまで気づかんかったわ。

コメディというにはあちこちに散りばめられた風刺が尖りすぎてるが、それぞれの俳優が求められる役柄をきっちりと演じた味のある作品だった。
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