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SISU/シス 不死身の男のMrOwlのレビュー・感想・評価

SISU/シス 不死身の男(2022年製作の映画)
3.9
俺に死んでる暇はない!1944 年 第二次世界大戦末期、ソ連に侵攻され、ナチス・ドイツに国土を焼き尽くされたフィンランド。凍てつく荒野を旅する老兵アアタミ・コルピ(ヨルマ・トンミラ)は、愛犬ウッコを連れ、掘り当てた金塊を運ぶ途中でブルーノ・ヘルドルフ中尉(アクセル・ヘニー)率いるナチスの戦車隊に遭遇、金塊も命も狙われるハメに。アアタミが手にしているのは<ツルハシ1本>と<折れない心 SISU>だけ。それでも戦場に落ちている武器と知恵をフル活用し、ナチス戦車隊相手に、機銃掃射を浴びても、地雷原に追い込まれても、縛り首にあっても、挙句の果てに戦闘機にツルハシ1本で食らいついても、絶対に死なない!多勢の敵を相手に、アアタミはいかにして戦い、そして生き抜くのか――。そしてアアタミの目的地とはー?と予告編ではフィンランド版ジョンウィック、という感じで紹介されていましたので興味を持っていました。またもともとジャンルとして、オヤジが実はタフだった、というリーアム・ニーソンの96時間シリーズなどが好きなので、フィンランドという馴染みがない国が舞台ですが、本作も観てみようと思っていました。91分というコンパクトな映画でテンポも良かったです。とにかく62歳なのに眼力が凄いヨルマ・トンミラの演技に圧倒されます。老兵アアタミは会話をほぼしないので、表情とアクションがメインですが、そこがかえって老兵の鬼気迫る、狂気にも似た凄みを感じさせてくれました。主演のヨルマ・トンミラは62歳とのことですが、かなり動けていましたね。そこも良かったですね。本作の演出の過激さや章立てなどは、クインティン・タランティーノ監督のパルプフィクションに似ています。そのためパルプフィクションや、クインティン・タランティーノの映画が好きな人には、楽しめる作品かと思います。監督のヤルマリ・ヘランダーと主演のヨルマ・トンミラはレア・エクスポーツ 囚われのサンタクロース、ビッグゲーム 大統領と少年ハンター、でもタッグを組んでいますね。その頃子役だった息子のオンニ・トンミラ君もナチス側の戦車兵として出演してます。ちなみにフィンランドは北欧の国で西からノルウェー、スウェーデン、フィンランドとなります。フィンランドの東側はロシアで南側はフィンランド湾を挟んでバルト3国があるという位置関係です。首都はヘルシンキ。国体の変化が激しい歴史を持つ国家であり、王制から共和制へ変換された国々の一国とのことです。ロシア帝国が第二次ロシア・スウェーデン戦争後にフィンランドを併合してフィンランド大公国にした1809年まで、スウェーデン王国に属し、後に、ロシア帝国がロシア革命で崩壊したことで1917年にフィンランドとして独立。独立後フィンランドでは4つの戦争起きています。1918年のフィンランド内戦、ロシア革命で成立したソビエト連邦との冬戦争(1939年~1940年)、第二次世界大戦(独ソ戦)に伴うソ連との継続戦争(1941年~1944年)とソ連との講和後のナチス・ドイツとのラップランド戦争(1944年~1945年)。それぞれの戦争において、共和国の軍隊は、軍の最高司令官であるマンネルへイム元帥によって率いられた。冬戦争と継続戦争により幾らかの土地をソ連に奪われるも、ソ連に併合されたバルト三国と異なり独立を維持した国がフィンランドとのこと。近年では2022年、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて北大西洋条約機構(NATO)への加盟申請を行い、2023年、トルコが承認したことでNATO全加盟国の承認が完了。同年4月4日にNATOに加盟しています。歴史的、地政学的に戦乱の歴史がある国です。
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