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アリーテ姫のyunumataのレビュー・感想・評価

アリーテ姫(2000年製作の映画)
3.5
テーマがいい。徹底的に、手を動かし・物を作り出すということに極端なまでのヒエラルキーが設定されていて、虚飾を否定し、地べたを這いつくばって生きてゆくことを力強く肯定している。そして最大の魔法とは、人間が持つ想像力なのだ、ということ。それをまったくブレなく、そして瑞々しく描き通していて、最後のところはちょっと泣きそうになってしまった。
物語はやや寓話チックというか、婚姻譚をからめていることもあって正直とっつきづらさがある。所々にある素晴らしいシーケンス以外は、静的で、既視感があるものをただ見届けているだけになっている。これと同じ年に『千と千尋の神隠し』が公開されていたことも考えると、やっぱり出来上がっているものに古臭さがあった。フィルム上映で観たんだけど状態があまり良くなかったこともあり、まるで30年前のようなアニメーションに見えてしまって、それはそれでビンテージの魅力はあるんだけれど、わざわざ探すほどでも……。
レンタルでもVHSしか出回っておらず、とにかく映画祭で観る機会が得られてよかった。観て後悔はないけれど、この後の作品群と比較して、遜色がないというわけではなかったかな。

映画祭(2016.11)
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