ちょっと期待してたがハマらず。ポップな演出をやりたいという熱意は伝わるんだが、同時にインディー映画的な粗さも捨てがたかったらしく、学生映画っぽい無邪気さが前面に出ていて正直かなり見づらい映画になってしまってるように思う。割と金かかってそうなだけに残念。コリン・ファースも出てんのに。
小津とかウェスが180度ルールを破り、イマジナリー・ライン上にカメラを配置しても映画を成立させることができたのは、やっぱり彼らが構図やセットに対して異常なまでの拘りを見せていたからなんだろうな……と思った。ああいうアヴァンギャルドな演出は、雑にやられると意図的なのか下手クソなのか見分けがつかない。
撮影も、カメラの存在を意識させてしまうようなショットがかなり多く、あまり物語に集中できない。超広角レンズを使う必然性とか分からないし。スパイク・リー作品みたいな素朴さともまた違くて、カメラマンの存在感に可愛げがないんだよな……。うーん。
最悪の食事会をヤズが救済するシーンなんかは展開も撮影も鮮やかだった（背景の炎の使い方とかすごい）が、それ以降あれくらいのパワーを持ったシーンがなかった印象。恋愛映画においていちばん重要なキスシーンも、あまりパッとせず。短編にしても良かったんじゃない？ ていうか短編映画を撮る感覚でそのまま長編作っちゃってない？ 今後の成長に期待。
