ノラネコの呑んで観るシネマ

ふたごのユーとミー 忘れられない夏のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

4.3
タイに暮らす一卵性双生児のユーとミー。
見た目はほっぺのホクロの有無以外そっくりだが、ユーは優しい優等生で、ミーは快活で気が強いと、性格は違う。
二人は生まれてから今まで、何でも分け合って生きて来た。
でも思春期を迎えたある年の夏、ユーにはじめての彼氏が出来たことから、二人の関係が変化してゆく。
彼氏を含めた三人は、奇妙な三角関係に陥って行くのだが、双子ゆえに以前からたまに入れ替わっていたりしたことが、事態をややこしくする。
ミーは自分の感情が恋なのか、ユーを彼氏に取られたくないだけなのか分からず、ユーは分け合えうことの出来ない恋と言う感情に戸惑い、彼氏も二人の間で揺れ動く。
双子と言うモチーフをうまく生かすと、青春の葛藤もより複雑に象徴性を帯びるという訳。
マナカナみたいに、双子の俳優が演じているかと思いきや、ティティヤー・ジラポーンシンの一人二役。
細やかな芝居で、キャクターの違う二人を演じ分けていて素晴らしい。
中盤以降は恋の葛藤の他に家族の問題も絡んで来るのだが、二人が導き出す結論は、とても素敵なものだった。
幼い頃は一心同体と思っていても、成長すると共に自我が強くなり、やがては別々の道を歩み出す。
典型的なシスターフッドの話型を、双子と言う最も近しい関係性から描いたのは面白い。
監督も双子ゆえに、リアリティは満点。
優しい、いい映画です。