江戸word

碁盤斬りの江戸wordのネタバレレビュー・内容・結末

碁盤斬り(2024年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

あまりの迫力に、自分の首まで落とされるかと思った…。碁盤斬りってそういうことか…!

あまりにも評判が良かったので鑑賞。
時代劇は好きじゃないからな〜なんて思っていたけれど、これは本当に映画館で観て良かった。
もう「時代劇だから自分向きじゃないだろうし、渋くて静かなんでしょ??」なんて思うのはやめる…。

予告編も何も観ず、事前情報もほぼほぼ入れずに(知っているのは監督と草彅さんのことだけくらい)で本編を観た。序盤は穏やかなシーンが続くので、白石監督作品なのに人情味溢れる展開が続くのか…?なんて思っていたら、とんでもなかった。

主人公がなぜ浪士になってしまったのか、その理由がわかり、倒すべき相手がわかってから、またそこに50両窃盗の嫌疑がかけられてからの、草彅さん演じる主人公の恐ろしさと迫力と言ったら…!
怖い。本当に怖かった。本当に人が怒り狂っている時って、顔の骨や筋肉からもそれが伝わってくるんだ…ということがわかった…。

中川大志さん演じる見習い商人には一番感情移入した。自分の気持ちに正直に動くことができず、上司に言われるがまま行動したことで、自分、ひいては恩人の首までも質にしてしまうなんて…。さらには好きな女の子までも不幸のどん底ギリギリまで突き落としてしまった彼の気持ちを考えると本当にいたたまれない…。自分一人だけ秘密を抱えて、毎日生きた心地がしなかっただろうな…。

かやちゃん演じる主人公の娘は、まさに武家の娘!自身の命や人生なんて投げ出す覚悟で行動する姿は誰よりも格好良かった。

小泉今日子さん演じる遊女屋の主人は、最初は気立のいい近所の人的なポジションなのかと思いきや、9歳の頃から遊郭を生き延びてきた女として、鬼のような面を持ち合わせているのがすごく刺激的だった。娘のことは返してくれないんじゃないか…バッドエンドなんじゃないか…と最後の最後までヒヤヒヤだった。

斎藤工さん演じる主人公の敵役も最高だった!あまりの性格の悪さに、首を落としてくれと懇願するところまで、コイツまだなんかしようとしてるんじゃないか…と疑ってしまった。主人公と敵役の過去の回想シーンの、あえて画質を荒くしている感じも好きだった。

普段時代劇を観ない自分にとってもこんなに面白かったのは
・話の筋が明快
・セリフも聞き取りやすい
 (敢えて現代っぽいですます調多めなのもなんだか新鮮)
・主人公が大切な娘をある意味人質にとられながら行動する(明確にタイムリミットがある)
・ほんの少し恋愛要素もある
・江戸の風俗が見られて楽しい(遊郭、賭け事などなど)
というところが要因なのかな〜と思った。

囲碁のルールがわからない自分にとっては対局シーンは即座に理解できない場面もあったけれど、そこはうまく説明されているので苦痛ではなかった。おそらく囲碁のルールを知らない人がほとんど、という前提で作られていてとっても親切!

欲を言えば、年末公開だとぴったりだったのに…!と思ってしまった。年末にもう一度観たい。
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