物語は淡々と進んでいくけれど、見終わった後で感想を書こうとすると、いろいろ考えさせられる。
周平は人あたりもよく、おそらく周囲からもいい人だと思われている。ただ、悩みや苦しみを共有できるような一歩深い人間関係を構築しようとした時に、ただ「いい人」というだけでは、かえって嘘っぽく見えるのだろうか。周囲の人たちの、短く鋭い言葉が刺さる。
また、特に家族と関係を改善しようとしても、ただその一生懸命さは痛いほど伝わってくるけど、映画の内外で、人によっては滑稽さや気持ち悪さしか感じられない、というのが哀しい。それに、周平は、後から少しはそれを自覚できるくらいの、自省する態度を持ち合わせているのが、なおさら痛々しく哀しい。
いい人であることと、他人との関係性をうまく構築する技術がある人、というのは全く違う資質なのだろうか。
とかいろいろ考えたのは観終わったあとで、鑑賞中は、北九州弁の濃さとか、三石研さんの醸しだす哀愁とか、他の俳優さんたちの目の強さとか、そういったことを感じながら、時に笑い、時に切なくなりながら観てました。
