そば茶

ストレイト・ストーリーのそば茶のレビュー・感想・評価

ストレイト・ストーリー(1999年製作の映画)
4.7
ゆったりと、あたたかくて、やさしさあふれる映画だった。10年前に仲違いしたきりの兄が病気で倒れたと聞いた弟(73歳)が芝刈り機に乗り、350マイルの離れた兄に会いに行くというロードムービー。

見渡す限り広がる大空。地平線に果てしなく続く田舎道。左右には広大な畑が広がっている。大きなリヤカーを引き、歩くのと同じくらいのゆっくりとしたスピードで田舎道をゆく古い芝刈り機。運転手はおじいちゃん。おしゃれなハット、チェックのワイシャツに水色ジーンズの、白い髪に、白い眉、白いヒゲをもち、2本の杖で歩く、柔らかい笑顔が素敵なおじいちゃん。お腹が空けばウインナーを食べ、夜は焚き火で暖をとる。

たしかに芝刈り機に乗って進むアルヴィンは滑稽で笑ってしまうのだけど、それ以上にほほえましくて応援したくなる。アルヴィンはユーモアもあり、人生経験を重ねた人としての魅力もある。道中で会う人たちと、ほんの少しだけ、それぞれの人生が交差する。

ドラマチックではないかもしれないけれど、じわじわと暖かさがしみる、素敵な映画でした。

年末に観た『PERFECT DAYS』がとても好きだと思える映画で、そのパンフレットに主演の役所広司が理想として掲げる映画、『PERFECT DAYS』と同じ空気感をもった映画として紹介されていたので観たのだけれど、やっぱりよかった。
そば茶

そば茶