ヒノモト

レオノールの脳内ヒプナゴジア(半覚醒)のヒノモトのレビュー・感想・評価

3.6
第24回東京フィルメックス プレイベント:Filmmakers' Homecomingより
来年1月公開のフィリピン映画。
マルティカ・ラミレス・エスコバル監督と石川慶監督によるトークショーと合わせて鑑賞しました。

映画監督レオノール・レイエスは72歳で引退し、借金と息子との関係に悩みながら暮らしている。ある日、脚本コンクールの新聞記事を目にし、過去にしたためた未完のアクション映画の脚本執筆に取り組むが、落ちてきたテレビに頭をぶつけ、ヒプナゴジア(半覚醒)となり、執筆中の物語の世界に入り込むというお話。

処女作らしい大胆な設定、おばあちゃん監督とアクション映画という組み合わせの妙もあり、化学反応としての面白みはあるし、映画の作り手としての苦悩をメタ的視点で捉える終盤のシーンは大変良かったですが、一般的な観客からするとアクションシーンのカット割りや編集が少し悪いのと、この映画の世界のルールとしての辻褄合わせの説得力に欠ける部分が見られ、シナリオの都合に引っ張られることに納得しにくいところも見られました。

ただ、映画の大枠としては魅力的な描写シーンも多く、映画づくり可能性、物語の世界の理想と人生の不確実さを映画というプログラムの中に配置していく試行錯誤や迷いが、映画の至る所に現れていて、それが1つの作品に結実していることは素晴らしかったです。

上映後のトークでは、モデルとなる監督のおばあちゃんのことや、映画館よりもテレビで観る映画がルーツであることなど語られていて、貴重な時間となりました。

トーク後の写真はブログにて
https://ameblo.jp/hinomoto-hertz/entry-12827639137.html
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