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TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーのrollinのネタバレレビュー・内容・結末

3.7

このレビューはネタバレを含みます

厄物🤝ダメ。ゼッタイ。


どう見ても特級厄物な腕の像と握手して霊を憑依させるとハイになれる。ただし絶対90秒でやめること。絶対だぞ??
この降霊会とドラッグ体験を結びつけた発想はマジ最高で、度胸試しと見返り、SNSで即共有という10代には底なしの興奮を与えてしまうであろうシステムに戦慄を覚えた訳であります。あとオリラジ藤森が彼女と作った腕の石膏像を思い出しました。

主人公ミアは最近母親を亡くしたばかりで、現実逃避し、何かに依存しなくてはマトモじゃいられないという動機づけや行動原理にはめちゃくちゃ共感出来ます。事故までのお膳立てとなるアッパーな前半の面白さは文句のつけようがありまへん。憑依される当事者とオーディエンス側の視点の移り変わりも非常にスリリングでした。

ただ後半のグダグダ加減が壊滅的。
後半はミアの厄物ハイジャックによる幻聴、幻視、被害妄想といった個人的なバッドトリップを恐怖体験として何とかホラーに落とし込もうとしてるんだけど、オチを含め脅かし演出はシックスセンスから何らアップデートされておらず。引き出しのなさはホラー映画としてかなり残念でした。
何ならたまたま出会したミアにしれっと「仕事でアンタの母親の葬式に行けなくて悪りぃ」と言えてしまう親友の母親が一番怖かったです。

親友の今カレ=自分の元カレニキへの潜在的なNTR返し願望や、母親の死の真相について父親からTalk to Meしてほしい妄想など、10代少女のセンシティブな心理描写は良かったけど、いかんせん作り手側が芥見下々のような逆張りで主人公のあらゆる希望や可能性を断ち切り業を背負わせていくので、観客の心理的にもあまりミアに感情移入出来ない作りになっています。

おそらく降霊トリップネタとオチはすぐ思い浮かんだんでしょう。しかしオチを成立させるために逆算してミアに悪手を踏ませまくる展開がチョロすぎて、後半の脚本はもう少しブラッシュアップ出来たのでは?と思いました。

冒頭のアニキが再登場した場面で、ここからチームでミアを救う胸アツエンタメ展開来るんけ!?と期待させといて全然そうならないのは逆にストイックで好感が持てました。呪物の出自を曖昧にしたのは正解だし、取り返しのつかない若気の至りや過度に依存することの恐ろしさを描きたかったんやろなというのも理解出来ます。

総じて、広告だけ印象に残るいつものA24配給ホラーといった感じ。前半後半のアッパー : ダウナーの対比がもう少し巧く機能していれば。ともあれ発想力は素晴らしいので、次回作にも期待したいです。
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