ゆっこ

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミーのゆっこのレビュー・感想・評価

3.0
私がもうおばさんだからなのだろうけど、「最近のSNSの〜」とか「若者たちの〜」の感じお腹いっぱいになっちゃったな。

最初っから人に対する接し方がおかしく、周りからの評価がアレなミアの様子の描き方や、カンガルーの意味の描き方の陰湿さは好きだったので、そっちに振り切ったヘレディタリーみたいな映画作ってみて欲しい。怖そう。

「手」、あれは本当にお化けが来ていたのかしらね。
かまってちゃんのミアは「いかにも」な悪霊を演じて周りを楽しませ一気にみんなの仲間入りを果たし、敬虔なクリスチャンのダニエルは性的な本性を顕にし、ミアに「孤独」というシンパシーを感じ同時に「死」に興味を持ち始めてるライリーはミアの母親を見る。

みんなの孤独を埋めるから、「つながる」事ができる手の形。
合言葉は、「話そう」「入ってきて」。
本作のテーマだった「孤独」の表現としては素晴らしいアイデアだったと思う。
…けど、そのアイデアの突出した良さに映画がついてきてない感じ?


ライリーもただの被害者ではなくて、しっかり死に至る孤独に手を掴まれていた。(ように私には見えた)
お化けじゃなくて、自傷行為。だけど手は家族と繋ぎ直されて、良かったね。


ミアはライリーの理解者じゃなくて、自分の領域に引き摺り込んで孤独を埋めようとしてる感じ。
そう考えるとミアは最初っからあっち側だったね…。
2人が一緒にカンガルーを見るあたりから、もう現実じゃなかったんじゃないかって気がしたりもする。

カンガルーは面白かった。
「楽にしてあげなよ」と覚悟が決まってるライリーは、容赦なく自分の体を傷つける。
「他の人に任せる」と何もしないミアは、周りに翻弄されるがまま。ずっと瀕死で苦しい。結末を自分で決められない。

ライリーが変化する老人もママのお化けも最後の方は「彼(ライリー)は自分たちの物だ」って言ってて、ミアは利用されてるだけみたいになっちゃって。
こんなになってもまだ自分は孤独で、選ばれなくて…絶望しただろうな。
存在のない透明な子供のまま、孤独に殺されてしまった。
ライリーのために死ねたわけじゃないと思った。それなら死んでも尚、孤独じゃないはず。
かわいそうだ…。


タイトルの「me」は母がミアを呼ぶ「ミー」とと同じ。
「ミーと話して」
自分自身と語り合う事から逃げ、または大人が頼りにならなくて(本作なら父親)自分と語り合うことができない環境にいてしまうと…

誰が悪かろうと、ツケを払うのは自分自身。

悲しい経験をしたミアは悪であったわけではないけれど、そうなっていってしまうという残酷な結末。

ポップなノリから一気に何が現実なのかわからなくなる地獄さはA24らしいけど、
全体的な満足度はあんまりだったなぁ。
ちょっと寝ちゃったし。画面暗すぎて部屋暗くしても見えないシーンいっぱいあったし。
でも次回作は楽しみにしてます!
ゆっこ

ゆっこ