耶馬英彦

ドミノの耶馬英彦のレビュー・感想・評価

ドミノ(2023年製作の映画)
3.5
 面白かった。原題の通り、催眠術を使ったSFアクションである。かつて超能力ブームの折には、サイコキネシスやテレキネシスといった言葉が社会性を持った。ユリ・ゲラーなどという人もメディアに登場したものだ。

 触れずに物を動かすのは、物理学の法則に反するし、直感的にも信じ難い。しかし相対性理論が説明することも、直感的には信じ難いところがある。物の速度には限界があって、光の速度は超えられないとか、ブラックホールはスプーン1杯の重さが何十トンにもなっていて、光も時間も進めないとか、重力加速度で上昇する無限エレベータに光が入ると、上昇している分、光が曲がって見えるから、即ち光は重力で曲がると結論づけたりする。知れば知るほど、人間が説明できることは広大な時空間のごく一部に過ぎないのだと思い知る。
 本作品はそういうことを踏まえた上での、大人向けの映画である。ところどころで理解し難いシーンがあるのはご愛敬だ。
 その他大勢が無慈悲なシーンで殺され、主要人物たちは情緒に従って行動するというハリウッドお馴染みの展開だが、ベン・アフレックの芝居が見事で、それなりに楽しめる。続編があったら、多分観ると思う。
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