ボンヌ

ぼくたちの哲学教室のボンヌのレビュー・感想・評価

ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)
3.7

子供を育む事は一筋縄ではいかない

教育に正解は無くて、議論は絶えないだろうけど、ひとつの素敵なモデルを見せて頂きました。

哲学を使った生徒へのアプローチは大人の考えを子供に押し付けずに、
子ども自身に考えさせる機会を与えるキッカケになってるなと思いました。

ひと度、転んだら大人が起き上げることは容易です。

しかし、子供が自らの手で起き上がれるように辛抱強く待って、見つめ続ける事はとても忍耐がいる。

ストレスを感じているのは、生徒やその親だけでなく、教師もです。

所詮、僕らは大人の格好をした子供なんだなと改めて思う次第です。

困難や不安に出くわした時に、

その事象から自分を遠ざけてみるといった心理的テクニックは、

現代を生きる我々全ての人が知っておいて損はないハックですし

怒りや不安といった感情をコントロールする…なんて事は人生を賭けて取り組んでいくテーマな気がします。

アイルランドは宗教間の対立があるみたいで、全くの無知を恥じていますが、1960年年代には武力闘争が活発になっていた様です。

そんな影響もあって、家庭単位で差別意識や迫害気質がある場合もあるのでしょう。

そんな中で学校は、両親の考えを鵜呑みにするな!

自分で考えて質問をしてみろ!

そうやって、自分で考える重要性を淡々と説いていきます。

この学校で素晴らしい点は、成功からでなくて失敗から物事を学ぼうという教育方針です。

何が起きて、何がいけなかったのか
対策はどうするのか。

考えて、考えさせます。

哲学とは考える姿勢の事だと言っていますが、その通りだと感じました。

年令問わず、物事を考える機会は現代では減ってきていると思います。

大人にも絶対に必要な授業だし、
大人こそ学ぶ必要があると考えさせる作品でした。
ボンヌ

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