このレビューはネタバレを含みます
この映画は和製版の「不思議の国のアリス」だと感じました。
そういう風に見てみると、
辻褄が合ってないとか、訳がわからない世界観と映像は受け入れられますね。
結局、本作もひょんなことから異世界不思議ワールドに行って現実に戻ってくる話ですから。
不思議世界の案内人がうさぎからアオサギになって、トランプの騎士がインコになってるのかなー…
なんて考えてるのは楽しかったですし、インコが凶器をもって走り周る様はなんとも滑稽!
80歳の宮崎駿氏が繰り出すの渾身ギャグに思わずにんまりと笑ってしまいました!
また、不思議ワールドだと登場人物みんなが”本音”を出しているので
見ていて心地よい空間だなあと。
不思議空間にする事で、兎に角描きたい場面をトコトンまで凝縮できていて……
星降る夜。
未来少年コナンのOPを連想させる高波と船。
桜が常に咲く美しい森。
魔法と少年少女。
擬洋風建築の数々!
これ程に宮崎駿氏の画を堪能できるのは贅沢で、、これだけでも本作をスクリーンで鑑賞する価値があると確信してます。
また、本作のテーマは家族の話。
親子がお互いをどう思っているのかが真に発見できる。
親は子供を心配するし、子供だってその気持ちに健気に応えてくれる。
そんな、高らかな人間讃歌です。
子供が怪我をして帰って来た時、
父親として子供を護って、
「大切な息子を傷つけられた!」
と、大声を出して怒る。
息子と嫁が居なくなったら、死物狂いで探す。
父親が、家族に、息子に想いをぶつけるシーンが印象的でした。
宮崎駿氏も宮崎吾郎氏に、本音では
大切な息子で誇りであると感じているんだな……
気難しがり屋の宮崎駿氏は普段はこんな事を言わないと思いますが、
本作の不思議世界を通して、キャラクターと同じ様に本音を出しているのかな……
最後のスタッフロールに宮崎吾郎氏の文字を見た時に感じた素直な感想です。
そんな風に考えれば、
本作は心の温まるハートフルな映画だなあ…そんな風に思えます。
僕達は結局、最高のハッピーエンドを求めているんだなと。
本作は宮崎駿氏がそれにしっかりと答えてくれたんだと思います。
映画最高!
ジブリと宮崎一家に幸あれ!