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ネクスト・ゴール・ウィンズのJPのレビュー・感想・評価

3.6
「ジョジョ・ラビット」がマジで奇跡みたいな大傑作なので、流石に同じ監督と言えど今作はそこまでの作品ではない。マジでゆる〜く肩の力を抜いて楽しめる、サラッとしたライトなコメディ。なんかうっかり泣きそうになったりもするけど、結局コメディ。軽くて楽しい!細かいところは気にしないスタンス!
「ジョジョ・ラビット」で見せたコメディセンスがバチバチに光っている。ホワイトボードに油性ペンで書いちゃったとか、パトカーのサイレンが壊れてるから口でサイレンやるとか、巡査が無線で繋いだ相手がオカン(オカンも警察。田舎すぎて最高)だとか、建てつけ悪くてトイレの扉が半分しか開かないとか、くすぐりが全部センスあって笑える。
肩をすくめた少年を見て、肩のストレッチすることになっちゃうくだり、めっちゃ笑った。というかタイカ・ワイティティ、太っちょな男の子好きすぎるだろ!(ヨーキーとか!)
もちろん、下品で不謹慎な「ナンセンス」な方の笑いも健在で、目の前で車に撥ねられる人とか、おっぱいの落書きを顔面にいっぱい描かれるとか、そういうのもタイカ・ワイティティだから許される感じはある。苦手な人もいるかもしれないけど、しゃーなし。「ジョジョ・ラビット」も実は下ネタとか結構あったけど、そこに目くじら立てる人は多分いない。

トーマスのサモアの自宅の内装に顕著な、カラフルな美術と、その均衡のとれた撮り方も「ジョジョ・ラビット」を思い出す。嬉しい。サモアの美しい海、空、緑の芝生などの映し方も◎

空き缶の例え話ひとつですぐやる気になるとか、「都合がよすぎでは…?」と思うようなターニングポイントが多かった気がするが、裏を返せばテンポが抜群に良い!
ジャイヤと娘が重なって見えて…のくだりも、もう一悶着くらい見たかったなー、という気がしなくもないけど、やはり今作はスナック感覚のコメディとして観ていいのだ。「サッカーはスポーツである以前に、遊びだ!」と思考を転換し、監督席でチキンを食べ始めるトーマスの姿が、今作のスタンスを表している。
JP

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