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私がやりましたのsayuriasamaのレビュー・感想・評価

私がやりました(2023年製作の映画)
4.4
ガッツリトレンドをおさえたテーマ設定なのに、嫌味がなくて娯楽感満載!レトロ可愛い舞台風映画

あらすじ
業界での権力が抜群のプロデューサーを殺害した疑いのかけられた売れない女優・マドレーヌは、法廷で正当防衛を主張し、それが認められ、弁護を担当したルームメイトのポリーヌ共々、有名人になる。幸せの絶頂の中、とある往年の名女優、オデットが現れ、「真犯人は私だ。私の罪を返してほしい」と主張してくる…

予告より本編のほうが大分面白かった。序盤のつかみから、マドレーヌとポリーヌの口八丁手八丁で生き抜く強かさとシスターフッド、そして周辺の男性たちのややコケにされてるけど面白い小ネタ、そしてレトロなファッションと街並みに一瞬で引き込まれました。

そして、脚本がとても鮮やか。登場人物が多めで、主役はマドレーヌとポリーヌなのですが、助演男性の人数が多い中、うまくストーリー展開の中で出し入れされていて好印象。特にラビュセ判事と建築家かつその友人のパルマレードのキャラクターがツボにハマりました。

そして、終盤に出てくるオデット演じるイザベルユペール、舞台風味の大げさな芝居がまた華やかで最高でした。

1935年というヨーロッパが不安定になりつつある時代設定がまた乙な感じで、女性参政権のくだりはかなりのブラックジョークでしたが、こういったシニカルなネタをうまく娯楽的にまとめられるフランス映画の底力を感じました。

というのも、ストーリーの中に出てくる題材が、『バービー』はじめ、今年観たハリウッド映画の中に出てきたネタがたくさん。ついでに映画の中に映画館も出てくるので、トレンドテーマでお腹いっぱいになるくらいなのですが、面白いように娯楽に落とし込んであって痛快。『バビロン』なんかより1万倍上品で、『バービー』より1000倍オトナの出来ばえでした。

サイレント映画へのオマージュもたくさんあるようで、深く観ても楽しいし、単に映画を楽しんでも十分にエンターテインできる、素晴らしい映画でした。
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