あすか

PERFECT DAYSのあすかのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.1
またまたお久しぶりです。
久々にあげたレビューからまた2年近く経ってしまいました。
その間も心に強く残った映画を何本か観ることができたのですが、やはりアウトプットしないと次第に薄れていくものですね、、
なので直近で観たこの映画をレビューしようと思います。
頻繁にレビューをしていた4年前と今とで、少し映画の見方、感じ方に変化があり、当時ほど映画というものをいわゆる"娯楽"として観ることが少なくなりました。

子供心が失われつつあるのか、娯楽として楽しめるほど自分の人生に余裕がなくなったのか、どちらにしても全然喜べたことではないのですが、だからこそこの映画は僕の中で心に残ったような気がします。




何気ない日常をひたすら繰り返し映してるだけの映画。なのに一つ一つの描写が愛おしい。
伏線になりそうな箇所や今後絡んできそうなキャラクターがその後一切登場しなかったり、はたまた日々の同じようなルーティンワークがちょっとした物語の変化を生み出したりとほんとに日常を切り取ったような、淡々としているからこそ繊細な変化が味わい深く感じれるそんな素敵な映画でした。
役所広司演じる平山さんのキャラクターも魅力的。
生真面目で無口な人なんだけど、所作や立ち振る舞いに気品を感じる。
古びたアパートでトイレの清掃員として働く、経済的には決して恵まれているわけではない、けれどもこの淡々とした日々に工夫を凝らして彼は彼の人生をとても楽しそうに生きている。

実は去年の夏休み、語学留学でフィリピンで数ヶ月ほど生活していたのですが、治安もインフラも食事も日本と比べて悪く、最初はカルチャーショックがすごかったのですが、そこで生活をし、色んな国のたくさんの友達ができ、セブのスラム街や孤児院で炊き出しのボランティアなどに参加して現地の子どもたちなどとの交流を通して異文化理解を深めたことで、色々狭まっていた視野が広がったような気がします。

この映画を観ながら度々その時のことを思い出しました。
彼らはたしかに、日本と比べると経済的に裕福なわけでも、治安が保たれているわけでもインフラが整っているわけでもないところで生活をしているけれども、どこか日本人よりも幸せそうに見えました。

映画のようなドラマある人生や理想を高く持つのは別に良いことではあるのかもしれないが、その刺激を欲するよりも前にまずはこの淡々とした日々を丁寧に生きていく。大きなドラマもない淡々とした日々の日常にこそ意味がある。そんな毎日を丁寧に紡いでいくことの大切さをこの映画から感じ取れました。

平山さんは別に社会的成功も経済的な幸せも享受できていない、けれども自分自身の幸せを理解し変わり映えのない毎日をただひたすら丁寧に味わい尽くしていく、そんな彼の日々はまさしくPERFECT DAYSでした。

俺もドラマのない人生だろうと丁寧に生きなきゃ。平山さんを見習ってね。
だれていた英語の勉強も頑張ります。
前を向かないとね。
あすか

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