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PERFECT DAYSのbiyaのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.5
めちゃくちゃ良かった。分からないことが多いんだけどその背景を考えたくなる余白が多い映画。
まず役所広司が超自然で良い。言葉が少ないキャラなのに多分このまま永遠見てられるあり様。この人は何に影響を受けて何を面白がるのかなど興味が尽きない人物に見える。
一見このキャラクターは浅草近辺で平日と夜は基本ルーティーンの生活でそれが良い、その繰り返される日常って小さな幸せでそれが良いんじゃない的な、まあ良くある感じなのかな、それでいて観ている方もまたこれかという退屈さ2割と、それでもやっぱ良いよね日常生活背筋伸びるよねという気持ち8割だった三浦友和が出てくるまでは。
夜の三浦友和シーンが最高。まず三浦友和がいきなり隣でタバコあります?と出てきたらくそ驚くよ。それでいてこの行きつけのママが女になる瞬間を見ていたたまれなくなるこのモヤモヤを吐き出すルーティーン、日常のルーティーンはあるのにそれは無くて吸えないタバコを友和と一緒にむせるギャグ。
その後、影は重なると濃くなるのかを実行する時に、役所広司は同じなんてことがあるはずない、違うに決まってると。
それを聞いて俺は、この物語を相当勘違いしていたと思った。外野から見たらルーティーンの行動も、役所広司からしたら、いつも朝出る時に見上げる空だって、昼休みに撮影する木々、木漏れ日だって、ありとあらゆるところは普段の日常でありながらも変化する新しい日常でもあるから一口にルーティーンなんて言葉で片付けられないんだと感じた。
そして始まる唐突な影踏み。踏みましたよとか、子供の頃の鬼ごっこの理不尽に発動するバリアーのような、言い訳がましさというか子供っぽさがむちゃくちゃ良かった。
そういう面白い日常をずっとは味わえない。老いだったり、死ぬことだったり。そういう、ない混ぜの感情な思いが発露したラストに見えた。
ニコとの役所広司の並走チャリが、もう2人の日常馴染みすぎてておもろいし、浅草の駅下にある、せかせかする改札前を目の前にするあったかい居酒屋の境界感が良いし、いちいち100円の文庫本の解説する本屋の店長も良い。昼食べる時に隣にいる、どんな顔で隣を見てるねんっていう女の人も。トイレ掃除で、そんなところ伸びるの!?って発見もあった。意外に新しいことに気づかんなー。
あと昼にニコが携帯で空を撮っているシーンを見て、役所広司はただなんとなく良いから撮り続けていると思ってたんだけど、ルーティーンではなく新しいものを発見している論にも関わって、そうじゃなくて心の底から撮りたいと思ってカメラを構えてシャッターを押してるんだと思った。なぜ役所広司がフィルムで撮っている時はそうは思わず、アナログと逆のスマホでニコが撮った瞬間に思い直したのは謎だが。
散文になるけど、それだけ登場人物が何を考えているのか、自分と照らし合わせてどうかを考えてしまう映画だった。ルーリードのパーフェクトデーは良い曲よね。
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