2024年2本目。
役所広司がボロアパートで暮らして自転車漕いで移動して、っていう予告を観た時点で、西川美和の大傑作『すばらしき世界』の二番煎じにならないかと心配していたけれど全くの杞憂だった。
何という味わい深さ。
あまりにもオトナな映画っぷりに痺れた。
冒頭から、なんてことのない同じようなシーンの繰り返し。主人公・平山の生活は至ってシンプル。だからこそ、ふとした出来事が極めて際立つ。
他者からは同じことの繰り返しにしか見えない毎日も、本人からすれば一瞬一瞬の積み重ね(=人生)であることを説いた人生讃歌。
鑑賞中、気づけば笑みが零れてた。
カンヌ受賞も納得の役所広司による名演。
必要最低限の台詞量なのに感情の機微が痛いほど伝わる。『孤狼の血』でヤクザのキ○タマ切ってた刑事と同一人物とは到底思えない。
脇のキャスティングも絶妙で、特に終盤の三浦友和にはアガった。
多くを語らず余白を残しつつ、何よりも"映画"な映画。今後も大切にしたい一本。