決まった日常を質素に繰り返す主人公
仕事に出かける為にアパートのドアを開けて空を見上げる顔は充実して楽しげである。
この主人公にどんな過去があったのか?
どうしてこの日常を生きる事になったのか?
主人公も、映画も、言葉や説明は徹底的に削ぎ落としたように少なく語ってはくれない。
そのせいでかえって私は知らず知らずに作品に引き込まれていく
突然現れた家出して来た姪っ子は?
姪っ子を迎えに来た主人公の妹は何だかお金持ちそうである。
充実した日々を過ごしているようで、実は主人公には何か複雑なモノを抱えているようである。
でも映画は語らない。
そして続いていく美しい日常にますます引き込まれてしまう私。
とてもいい作品だった。
この作品に出会えて幸せだと思った。
映画館を出た時、私も主人公の様に思わず空を見あげた。
このまますぐに帰らず、お気に入りのお店できしめん食べてから帰ろうと私は一人街を歩き出したのである。