ある老人介護センター長の死亡事件、事件をきっかけに、この介護センターの利用者の死亡者が異常に多い事に気付く検事（長澤まさみ）
そして不審者として浮かび上がったのは献身的で心優しい介護士（松山ケンイチ）だった・・・
これは凄い作品でした。
一級のサスペンス映画の形をとりながら、誰もが人ごとではない老人介護という身近な問題を鋭くえぐります。
出演者の松山ケンイチ、長澤まさみ、柄本明の迫真の演技には、引き込まれましたし圧倒されました。
池波正太郎の小説｢鬼平犯科帳｣でよく語られる正義と悪の話
｢人は良い事をしながら悪い事を楽しみ、悪い事をしながら良い事を楽しむ、それが人間だわさ。｣
人の行いは単純に正義と悪とに分けられない複雑なモノで、時には何が正義か悪かわからなくなってしまうこともある。
クリント・イーストウッドの作品｢ミリオンダラーベイビー｣｢ミステックリヴァー｣等でも、そういった難しい微妙な内容をよく扱っています。
この作品はまさしくそんな正義か悪かで分けられない問題に、これでもか！と言うくらい迫っていきますが当然単純に答え等出てきませんし、出てくる物でもありません。
ですので見終わってもあまりスッキリしない物は残ってしまいます。
作品を観て自分はどう考えるか？どう感じるか？そんな作品だと思います。
いや～傑作でした。
作品のなかで印象に残る数々のセリフ
｢社会には穴がある。そこに落ちたら二度と這い上がれない！安全地帯にいて底辺の人間を語る資格などない！｣
｢家族の絆、それにどれだけの人達が苦しんでいるか！絆ではなく呪縛だ！｣
｢誰もが人に助けてもらっていいんだ。｣
ラスト近く、自分の母親に頭を撫でられて涙をながす長澤まさみ
予告篇にもあった場面ですが、正直泣けました😭
そんな心揺さぶられる作品でしたが見終わって、もし長澤まさみ検事の上司が長谷川平蔵だったら
正義と悪の狭間を生きた、あの鬼平だったら何て部下に声をかけただろうか？
な～んて考えてしまいました。
きっとこう一喝したでしょう。
｢まような！｣
と・・・
