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PERFECT DAYSのukiのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.0
ヴィム作品は初見です。
独特な空気感に引き込まれたなぁ。。
美術館の展示でありそう。
ラストシーンの余韻たっぷりで、、
街灯の灯りの中を
あ〜今日はこんなことがあったな、
明日は休みだからあそこ行こうかな〜って
歩きながら、"日常"を感じて帰りたくなった。
←電車で帰ったけど。

平山さんの人生背景が全く出てこないので
なぜ彼が今この生活をしているのかは
わからない。
わかるのは、この今の生活の中で感じ取れる
喜怒哀楽を噛み締めて生きているという事。
何か大きな出来事が起こるわけでも
目指しているものがあるわけでもない、
変わらない毎日を送っているはずの彼が
「変わらないなんて事があってたまるか」
と言ったのが、ハッとした。
素朴な生活の中でも、
小さな幸せ見つけてこ!っていうのもだけど、
変わらないような毎日でも小さな変化があって
それに気づく事が喜びであり、
彼の、生きているという実感になっている。
ラストシーン、feeling goodの中で
流す涙がそれを表していたように思った。

平山(役所広司)もだけど、
ちょい役で出てくるたくさんのおじ様達も渋い事!
特に三浦友和さん良かったなぁ。。
この物語を素敵だな〜と思う傍ら、
登場人物それぞれに、
様々な人生を歩まれたのだろう、と
想像し、敬意の念を覚え、
私なんかが、と、おこがましくも思えた。


いろんなことに気を使って、
人の目ばかり気にして
流行りだからと何かと消費して
誰かの世界で生きがちな現代。
この世界は一つのようで
たくさんの世界がある。
決して交わらない世界もある。
それでいいんだよ。
私の人生は
誰のための、何のための人生なのか。
目を背けていた現代の汚れた感覚を
浮き出させ、洗い流された気分だ。

ミニシアターでどっぷり
浸りながら観たい映画だった。
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