このレビューはネタバレを含みます
観客は傍聴人。
転落死した夫は
自殺か、他殺か。
登場人物の人物像や背景がわからない中
事件についての裁判が淡々と進み、
私達観客は証言台で語られる様々な証言と
証言者の繊細な表情等から"客観的に"
真相に辿り着こうと物語の行方を静観する。
被告人となった妻の視点、
その息子の視点、
転落死した夫の視点が
徐々に加わっていき、
一点の結末に向かっていってたはずが
いくつかの真実が折り重なった、
なんとも複雑な結末となっていた。
あの余韻を作るのはすごいな。。
結末がはっきりしたはずなのに
余計にはっきりしない終わり方。
私は結局他殺だったと結論付けたけど
観客の数だけ真実がある。
他の人がどういう結末に落ち着いたのか
気にもなります。
全く情報のなかった登場人物が
だんだんと色付けされていき、
観ている自分もそれぞれのキャラに
フィルターがかかり、(主観が加わり)
偏った時点で物事を見ることの
危うさを実感した。
また、視覚障害をもつダニエル君の
心の葛藤が辛かったけど
この物語の重要な観点だった。
「不確かな情報の中で何を真実とするかは
自分の中での確信を得るしかない」
みたいな会話がこの物語を
結末付けていたように思う。
映画としてはなかなか集中力必要。
しっかり糖類補給してから観た方がいいかも。
法廷シーンは長回しな上に
とても早口なので字幕読むのに必死😂
ずっと喋りっぱなしで
息切れしそうになるかと思えば
独特の間や音楽が絶妙に入り込んで
150分の長さを感じなかった。
あとはやはり俳優さん達が
とても素晴らしい。
主演のザンドラさんはもちろん、
子役のが大優勝。
あと、犬も実際に演技してたようで！
あのシーンどうやって撮ったの⁈💊
って。
気軽に観れる映画ではないけど
しっかり時間をとれたら
余韻まで味わうことのできる映画かと。
