ラダ

PERFECT DAYSのラダのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.9
何もない日常が繰り返す。その繰り返される日々は、あなたにとって意味がなくとも、彼にとっては価値がある。

トイレ掃除してるって本当?
こんな所に住んでいるの?

他人の評価がどうであれ、彼は創意工夫と誇りを持ってひたむきに働き、自宅では大好きなものに囲まれて過ごす。そして空を見て微笑む。

スクリーン越しに平山のルーティーンを観続ける時間は、ゆっくりと濾過されていく水一滴を追うような感覚に似ている。そして清廉された水溜まりだからこそ、波紋程度の出来事でも観る側の心が動いてしまう。

何もない話を、何かあるように見せる役所広司という人。そしてパティ・スミス、ルー・リードらの素晴らしい音楽が、何もない日常を少しだけ飾る(サントラが欲しい…)。

そして「Perfect Day(ルー・リードのそれ)」ではなく「Perfect Days」であることにこそ意味があるのだろう。誰かの何かで偶然迎えた特別な一日なんか意味がない。自らが紡いだ素晴らしき平凡な日々。さあ続け、平凡な日々。
ラダ

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