ラダ

哀れなるものたちのラダのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.4
倫理観とか常識とか法律とか。私たちは色々なものに包まれて生きている。つまりこれが「良識ある世界」だ。生とか死とかは、この影響が正に強いわけだけれど、この生と死の傍にいる「性」って、意外とこの包まりから解放されたところにあるのかもしれない。

脳を差し替えられ、内臓を出したり閉まったりするぐらいだから、そりゃセックスなんて朝飯前である。自らを剥き出しにするからこそ、ベラの未成熟さに人間の強さが重なって見える。そう、ベラは強い。そして人間は未成熟だ。

存在する都市を観たことのない姿で描き、クラシカルなようで観たことのないドレスを着る。エマ・ストーンを筆頭に、至極美しい世界の中で、ぐにゃりと湾曲させて描いた人間讃歌。

肩書を気にする日本人はアカデミー賞を取ったら劇場に足を運ぶだろうか(上映開始から日は経つももの、本日貸し切り)。付き合いたてのカップルが本作をデートで選んで微妙な空気になりますように。
ラダ

ラダ