ラストシーン。二人の表情は見えないが、きっと最高の笑顔に違いない。
その最後も含めて、起承転結ほぼすべての行動が褒められたもんじゃない。殺人、強盗、誘拐監禁に器物損壊。ドラッグに逃げずに酒に留めたのは褒めてあげる。でも立派な犯罪者たちだ。
それなのにテルマとルイーズを応援したくなる。ちょっとした気の緩みが犯罪を生み、雪だるま式に罪を重ねる破滅的なストーリーなのに、どうにもポップだ。元気だ。格好よい。
だからあのラストシーンがハッピーエンドのようにすら見えてしまう。あの運のよさがあれば、直後にUFOから放たれる光がテルマとルイーズを助けても驚きはしない。車から羽根が生えてくる可能性すらある。いや、パラシュートが偶然積まれてるぐらいだったら本当にあるんじゃないかと期待してしまう。
そんな魅力が二人から、この映画からあふれている。
そして、昨今のジェンダー問題をいち早く取り上げるあたりも含めて、今、本作を4Kレストアで再上映する意義にも拍手。
なお、ブラピ未満のブラッド・ピットの美しさは、ジェンダーを超えてため息が生まれるに違いない。